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2019.09.26

技術チームへ、配信の裏側をインタビュー|動画制作秘話Vol.5

今回の制作秘話ブログは、Candeeが誇る技術チーム、アポロ・プロダクション部(通称アポロチーム)にフォーカスをあて、配信技術や配信機材、普段意識している事などについて、インタビュー形式でお届けします。

 

8月下旬。都内にある1,000名規模の会場で行われたイベントの生配信終了後、今回の案件も踏まえて聞いてみました。



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ーまず今回TriCaster 8000をスイッチャー機材として持ち込んでましたが、何か意図はあったのでしょうか?

 

江口(TD / 撮影):通常は、グリーンバックの合成や複雑な画面構成が必要な時に持ち込む事が多いのですが、今回はプロデューサー(Candee西塚)とも相談し、イベントの規模的にも当日にどんなリクエストがあっても応えられるようにしておこうと思って持ち込みました。

 

普段、機材構成をする上でのポイントとしては、もちろん予算や構成内容にもよりますが、クライアントの方がイメージしている見せ方やリクエストに応えられるように最善の機材を用意するようにしています。



ーカメラもいつものイベント中継とは違った構成のように思いましたが?

 

江口(TD / 撮影):事前のロケハンで、会場の広さを見てどういったアングルの映像が欲しいかなどを制作側と打合せをした上で、今回は4台のカメラを持ち込みました。会場の広さもあったし、出演者のファンの方も多く見るだろうなという事も予想されたので、1S(ワンショット)狙いのカメラはステージまでの距離を考え撮影時の安定性も加味しENGを選定。その他の全体のルックを統一したかったので全てSONYのカメラで統一しました。



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ースイッチャーとして、意識した事やこだわった点などありますか?

 

三好(SW):今回はカメラスイッチングの他に、テロップやスライドを切り替えるというシンプルなものでした。会場の雰囲気や熱気が伝わるような映像を織り交ぜながら、カメラマン達が狙う一番良い瞬間を切り取りつつ、配信を見ている人達が飽きる事なく、引き込まれるようなスイッチングをいつも心掛けています。

 

テロップやスライドなどは、会場の進行に合わせて切り替える必要があるので、カメラマンとも連携を取りながら、アングルを決めたりテロップを出すタイミングを計ったり、リハーサルの時から念入りに確認をしながら本番に備えました。 


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ー音声に関して、今回はイベント側のPAから音声を貰い、会場の音とミックスでしたが、特に気を使った部分や普段意識している事などありますか?

 

松尾(音声):今回は、多少音域を犠牲にしてもS/Nを重視して仕上げました。お互いに影響が出ないようにトランスも入れています。これによってノイズ除去と信号のやり取りでの安全性が向上しています。

 

今回に限らずですが、お客さんが入っての配信の時は、拍手や歓声を拾うためにマイクを立てます。

今回は2本のマイクを立てたのですが、会場の盛り上がりや熱量などが配信でもきちんと伝わるようにミックスを心掛けました。

 

収録の依頼もあったので、バックアップでDAW(Digital Audio Workstation)にて個別のチャンネルを録音しました。測定ソフトを利用して、周波数分布、定位、True Peak、RMS、ラウドネスを常に監視しながら配信用の音声を作っています。

 

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―最後に配信に関して伺います。今回はTwitter(Periscope)のみの配信でしたが、配信担当として、普段から意識している事などありますか?

 

会場に配信用の専有ネット回線が用意されていたので、その回線を使用して行いました。

 

原則ネット回線は、事前に確認が出来ているものか過去に配信実績のある回線しか使用していません。基本的には当日現場で出来る事は少ないですが、もし回線に何かしら不具合が発生し配信に影響が出た場合、即時アラートが発信できるように、配信映像と音声をモニターしています。

 

配信でトラブルがあった場合、素早く原因の切り分けが出来なくてはいけません。

そのために、視聴するモニター環境も「配信PCへ入力されている音声」と「実際のユーザーが視聴しているデバイス(PCやスマホ)の音声」を切り替えて確認出来るように自分なりに工夫しています。

撮影、音声のそれぞれのパートがどんなに良い映像と音を作っても、配信映像が乱れたり止まったりしてしまうと視聴数も大きく下がってしまいます。

 

なので、本番だけでなくロケハン時に使用するインターネット回線の速度チェックをおこない、万が一のためにバックアッププランを提案、不測の事態が起きても対応できるよう、当たり前のことではありますが、事前準備をしっかりと行い、現場の最終端として常に責任感を持って取り組んでいます。

 

また、Twitter(Periscope)配信では、クライアント様より配信で使用するアカウントをお預かりするのですが、こちらの取り扱い及び使用後のログイン情報を残さないよう細心の注意を払って使用させていただいています。

アカウントに関わる事故は、視聴ユーザーへの直結、またクライアント様の信頼を失いかねないこととなってしまうため、日頃より意識し徹底している部分です。

 

機材面では、配信PCとして弊社で所有しているBTO(受注生産品)PCを使用予定でしたが、

より安定性・クオリティの高い配信を行うため同等のスペックのWindows PCを用意し、コンパクト化を図り、特に熱処理にトラブルが発生しないよう空冷効率の良いPCケースに変更しました。

 

それでも不測の事態は起こりうるので、冗長性を持たせる為にMac Book Proを予備PCとして持ち込みました。



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年間約3,500本の配信を行っているアポロチーム。

現場では緊張感と共に自信に溢れた表情で取り組んでいる姿が、

とても印象的であり、頼もしく見えました。

 

現場を通しての実績と経験はもちろんですが、普段から検証を行いスタッフ同士で意見交換しながら知見を深め、最新の情報にアップデートする事で常に安定した配信を行えるのがアポロチームの強みではないかなと思います。

 

Candee制作チーム共々、技術のアポロチームに今後も目が離せません!

 

【スタッフ】

TD :江口佑

カメラマン:江口佑、熊木良和、阿部尚司

スイッチャー:三好宏弥

音声:松尾和広

配信:榊原槙

コメント収録:宮前裕輝

 

【今回使用した主な撮影 / 音声 / 配信機材】

カメラ:PMW-350 *1 / PXW-Z280 *2 / PMW-EX3 *1

スイッチャー:TriCaster8000

音声:YAMAHA TF1(ミキサー)

DAW:Apple Logic Pro X

測定:Flux Pure Analyzer System

収録:Ki Pro Ultra Plus*2 / Ki Pro Mini*1 / Logic Pro(音声DAW収録) / RAMSA(コメント用)

配信:Windows PC+DeckLinkStudio 4K(キャプチャデバイス)

Wirecast Studio Ver.12(エンコーダーソフト)

Arrow (モニター用オーディオインターフェース)

《予備》Mac Book Pro+UltraStudio HD Mini(キャプチャデバイス)